ふるさと豊間復興協議会
よりよい ふるさとづくりを 目指して
豊間区の動きや協議会の活動日程、豊間の復興情報などをお伝えしてまいります。
第五回 豊間の村社、諏訪神社
豊間の神社
いわき市豊間地区では、江戸時代には豊間村といいました。豊間地区の中心を流れる諏訪川のすぐ南に鎮座しているのが、村社である諏訪神社です。新年の初詣には多くの豊間住民が訪れます。神社の入口にある一の鳥居は、被災した豊間橋の架け替え工事の影響で道路を嵩上げする必要があったため、県の事業の一環で建て替えられました。二の鳥居は津波で被害を受けたため、区の事業として再建しました。「復興は神社仏閣から」という豊間の思いのもと、いち早く再建へと動きました。
諏訪神社にはいわき市の有形文化財に指定(1976年)されている「銅製鰐口」があります。鰐口とは神社仏閣の軒先にかけられているもので、参拝人が緒を振って鼓面を打ち礼拝するものです。現在、外からは確認することはできませんが神社でしっかりと守られています。
入口付近には放生池(ほうじょうち)と呼ばれる溜め池があります。これは格式が高い証拠だとか。この池には鯉やザリガニが住んでいて、昔は夏になると子供たちがザリガニ取りをして遊ぶ様子も見られました。
受け継がれる伝統
諏訪神社では妙石稲荷神社と合同で5月の例大祭にお神輿を出しています。諏訪神社のお神輿は大小2基あり、小さいほうのお神輿が出ます。稲荷神社からも1基出ます。豊間ではお神輿を担ぐ前に海水でお清めをする「お潮とり」(おしおとり)と呼ばれる伝統行事が行われます。海水は諏訪神社が二見ヶ浦から、稲荷神社は諏訪川の河口付近から採取します。
震災後は、お神輿の担ぎ手が少なくなったためお神輿をトラックの荷台に載せて地区内を渡御(とぎょ)しています。それでも2019年は、望洋荘(高齢者施設)と復興事業で造成された北側である塩屋台団地の前ではお神輿を担ぎ、集まった人々に披露しました。現在実際に担いでいるのは稲荷神社の小ぶりのお神輿です。町中を担いで練り歩けるように住民が集まれたら活気がでるんだけど、という声も聞かれます。2019年の例大祭では地区の消防団に所属する皆さんが担ぎ手として活躍しました。
例大祭の他にも8月末に行う秋祭りでは3匹の獅子が獅子舞を披露する奉納が行われます。八幡神社でも9月初旬に獅子舞が行われ、豊間の伝統行事になっています。
復興土地区画整理事業完了後、住宅は少しずつ増え始め、豊間に戻ってきた人や新しく住み始めた人もいます。諏訪神社は、豊間の人々の努力によって形を変えながらも脈々と受け継がれる伝統の一つであり続けます。
2020.3.3
著者:3104君